アクアリウム:水草育成に関する忘備録

水槽育成は思った以上に難しいです。
どの種類の肥料をどれだけ欲しているのか、また水質によっても水草によっても度合いが異なり見極めが大変です。

実際に試して調べたものを自分なりにまとめました。

園芸を知らない素人の私は当時肥料なんざ適当にぶっかけりゃー植物は育つんじゃね?ぐらいに思っていましたが、大気中の雑草と呼ばれるような強健種であれば当てはまるでしょうが、水中の水草ともなるとそうはいきません。
あまつさえ未処理大磯による高pH、高硬度での環境ではことさら難易度があがります。
そこで、自分の備忘録も含めて施肥の方法を記述していきたいと思います。

肥料の種類

植物に必要な種類は3カテゴリーあり、効能も異なると言われています。

大量要素(たくさん必要な栄養素)

植物育成に必要となる基本的な栄養素です。

窒素(N)

葉っぱに効く栄養素と言われ、葉肥(はごえ)と呼ばれています。
窒素、窒態は生育促進となり葉の色を濃くする作用があります。
主に魚のうんこが分解されてから発生します。
化学式で言うと、アンモニアNH4やNO2 NO3のNの部分になります。

窒素過剰のサイン

緑のふさふさ藻(緑藻)が生えているならば、それは水草が吸収しきれずに窒素が余分に存在するということになります。
生体が多くエサもたくさん与えていると、糞から過剰供給され余剰になりやすいようです。
例えば餌を1日置きにすると、窒素供給量も抑えられ熱帯魚も長生きするとも言われています。

リン酸(P)

実と花、そして根に効く栄養素で実肥(みごえ)ともいいます。

リン酸は人工飼料に含まれており、食べ残しや糞から供給されます。
水草は実や花を咲かせる草が少ないため、消費量が少なく余りがちになります。

余ってしまうと黒ひげコケの原因になりますので、水換えもしくはリン酸除去剤、またはソイルで吸着させるなどで対処したいところです。

水草がメインで生体がおまけ程度の水槽ならばリン酸も吸収され、不足する場合もあるそうですが、基本的にはあまり気味になります。

リン酸余剰のサイン

黒いフサフサのヒゲ状コケ、枝状のコケが生えたらリン酸が余分です。
鉄と結びつくと底床に溜まっていってしまい、根からクエン酸が放出されるとまた水中にでてくる性質があるため、水換えでも取り除きにくいのがこのリン酸です。

成長するマツモを入れて枯れる前に取り出すことで効果的に吸収してくれます。

カリウム(K)

主に根っこに効く栄養素で、根肥(ねごえ)と呼ばれています。

飼料や生体から供給されないため、施肥が必要になる栄養素です。
しかし、カリウム添加は水質に影響がありpHをアルカリ性に傾けてしまいます。

施肥の必要性


大磯の場合、硬度(カルシウム分)がカリウム吸収を阻害するので多くのカリウム施肥が必要となります。
テトライニシャルスティックの既定量は未処理の貝殻が多く入った大磯砂か、硬度の高い水用の量を書いているようなので、ソイルを用いている場合にはイニシャルスティックの量は半分程度で良いと思います
過剰の場合、カリウムが先に植物内に取り込まれ、カルシウムなどの他の要素の吸収阻害が発生してしまうそうです。

カリウム過剰のサイン

カリウムの施肥が一番難しいと呼ばれています。
それはカリウムはカルシウムとのバランスが整っていないとお互いに阻害し合うためです。
カリウムが過剰であると、カルシウム・マグネシウム吸収阻害をおこして欠乏症になるし、逆でもカリウム欠乏症が起きます。
なので、添加の量は徐々に徐々に上げていくのが基本となり、ドバドバ入れてしまうと水草がピタッと成長を止めてしまいます。
成長が止まると苔が生えるようになり、ヤマトヌマエビでも処理が追いつかなくなります。
あまつさえ、弱った水草はヤマトヌマエビの餌食になってしまいます。
ヌマエビが水草食害と言われるゆえんはここにあります。

本来健康な状態であれば多少食害されても美観を損ねるほどにはなりません。

中量要素(少し必要な栄養素)

カルシウム(Ca)

植物の細胞に効く栄養素で根の発育を助ける効果もあります。
商品名では石灰(せっかい)と言われています。

水道水が美味しいところはカルシウム分も多く含まれていますので、水換えしていればカルシウム分が不足することはないと思います。

逆に過剰で困っている場合は沸石(ゼオライト)を仕込むと硬度を下げてくれます。

マグネシウム(Mg)

光合成に必要な葉緑素を作る栄養素。
和名では苦土(くど)とも言います。

単体で売っていることはなく、園芸肥料でも苦土石灰として売られています。
マグネシウム分も水道水から供給されますので、よほど水草が生い茂った水槽でなければ水換えをしていれば充分に供給されます。

逆に過剰の場合はカルシウム同様沸石で吸着することができます。

硫黄

たんぱく質やアミノ酸を作るのに必要となる栄養素です。
硫黄はPSBを生かすために添加されているので、PSB液を添加しても効果がありそうです。

微量要素(ごくわずかだが必要な栄養素)

  • 鉄(二価鉄)
  • モリブデン
  • 亜鉛
  • 塩素
  • マンガン
  • ホウ素
ごく僅かですが水草の成長に必要となる要素です。
しかし、飽くまで微量ですので必要以上にあると成長阻害になりうるし、銅なんかはエビに対して影響があります。

施肥のタイミング

施肥は水草に肥料欠乏症の症状があらわれてからが鉄則です。
欠乏の症状が出てからでは遅いという考えもありますが、過剰になってからもとに戻すのも大変です。

施肥の極意

水草の直下に埋めない!埋めたくなるけど直下に埋めると水草の浸透圧が変わり、すぐに枯れます。

何も知らずにカリウム肥料を水草の直下に埋めてピグミーチェーンサジタリアを枯らしたことがありますので、これは守るようにしてください。

コツとしては水草から3~5cm程度は離した低床に埋めること。
そして、効果が出るのは1~2週間ほど経過してからなので、効果がでないからといってバカスカ施肥すると、目も当てられない惨状が待っているでしょう。

肥料欠乏症

住友化学のこのページがわかりやすいです。
水草じゃないけど、水草でも同じような症状が発生します。

肥料欠乏症図解

Google スライドを用いて作成しました。


施肥をする

固形肥料編

固形肥料は低床に埋めて使用します。
そして緩効性肥料もあります。

テトライニシャルスティック(遅効性)

N1-P0-K25のカリウムが突出して含まれている定番の低床用固形肥料です。
園芸用肥料で言う草木灰(そうもくばい)を固めたような有機系肥料で、底床でバクテリアに少しずつ分解されながらおよそ1年程度カリウムを放出するようです。

金属などの微量元素も含んでいるようで、魚のうんこから出る窒素、リン酸と組み合わさると効果を発揮します。

また、水槽に水を張ってから追肥する場合には「自作イニシャルスティックレリーズ」のような器具を作ると効果的です。

GEX水草一番栄養ブロック



買値が安いがあまりいい思い出のない肥料。
原材料がシリカ、カリウム、マグネシウムということで主にカリウム系肥料のようです。

こちらは即効性で、1ヶ月程度で効果が切れるということですが、それだけ栄養素が溶け出すのが早いということを考慮すると、底面濾過の場合水中に放出されてしまう量も高く水草の浸透圧を狂わす原因にもなりえます。

テトラフローラプライド



即効性の高い液肥。カリウムと微量元素が添加してあるらしい薄緑色の液体。
NPK比率は海外情報で0-0-3ということだそうです。(つまりカリウム液)

中身の色が緑色になるのは鉄がイオン化しているからだとか。
液肥のため仕方ないことではありますが、内容量が少ないのに添加量は多く、値段もそれなりに高いことが欠点です。

炭酸カリウム水溶液10%

ADAのブライティKという製品と同じです。
作るときは水道水でなく精製水で作ることをおすすめします。

炭酸カリウム自体は現在アマゾンでリッチパウダーが取り扱っているのでこれを買って作成すれば良いと思います。


炭酸カリウム溶液作成時の注意

精製水を入れてからカリウム粉末を加えるようにしてください。
炭酸カリウムに水を加えると反応熱がでるためです。

溶けるまでには時間がかかるので、一日程度おいておくと完全に溶け切ると思います。

また、炭酸カリウム自体はアルカリ性なので、添加後にpHをあげることになります。

カミハタ スティック・OKOSHI

こちらの製品は窒素も多く含まれていますので、水草水槽向きの肥料です。
生体メインであれば窒素の含まれた肥料を追加する必要はないと思います。
カミハタのOKOSHIは遅効性でN13-P5-K9とリン酸も含まれ、マグネシウムや微量元素も含み、ゆっくり5ヶ月程度効いてくれます。
スティック肥料はN8-P1-K4、その他微量元素の肥料で2ヶ月程度効きます。

アクアリウム用と謳っているだけあって、P(リン酸)の含有量が少ない点が魅力です。

 

吸着剤

水槽内に過剰にあるものを吸着させるろ材関連です。

エーハイムリン酸除去剤

エーハイムのリン酸除去剤は高性能で、水中のリン酸をほとんど除去可能な鉄関連の化合物だそうです。


沸騰石(ゼオライト)

ゼオライトは吸着剤としての効果があり、大磯から溶け出して過剰状態にあるマグネシウムやカルシウム分を吸着してくれます。
ただし、カリウムを優先して吸着するのでカリウム溶液を併用するのはやめたほうが良いです。

園芸肥料を使用する

苦土石灰

マグネシウムとカルシウムなど、中量要素のほかホウ素などの微量元素も含むので土壌の改良に使うそうです。
これ、水槽にいけんじゃね?と思い、スーパーの肥料コーナーで200円前後で購入。
しかし、園芸に使用するものを水槽に添加については、検索しても失敗のブログしかありませんでした。

硬度を要求する水草を使う場合、カリウムが過剰になっている場合には使っても良いと思いますが、水槽に添加するには濃度が高すぎます。
上手にコントロールして使う必要があります。

参考:アクアリウム:水草が成長しない原因考察「カリウム過多」


メネデール

Fe++(二価鉄)を含んだ肥料です。500mlで1000円前後と少々高価な製品です。

植物はFe++(二価鉄)の状態でしか吸収できないようなので、このような肥料を用いて鉄分も添加してあげると効率が良いそうです。

ただしFe++は水槽内ではFe+++で安定化するとのことで、継続的な施肥が必要となるみたいです。

あと、メネデールではリン酸除去の効果は薄いようです。
というのも、リン酸と結びつくのは二価よりも三価のほうが強いらしいので、メネデールでリン酸除去除去は果たせません。

つまり、二価の鉄でもリン酸除去にはならないってことですね。

換水による養分調整

コケが出たら換水で養分を流してしまうと考えがちですが、換水で流れ出やすい栄養素と留まりやすい栄養素とがあり、リン酸は鉄分と結びつくと低床に溜まってしまう特性がありますので、こうなると水換えで流れにく栄養素になります。
黒ひげゴケが出たからといって集中換水すると、窒素ばかりが外に行ってリン酸だけが残って余計に悪化する可能性もあります。

いやはや、水槽内のバランスを整えるのってほんっとうに難しいですね。

水質 

アルカリ性に傾くと、肥料が吸収できなくてコケが育ちやすいとか何とか。
これはアルカリというより高硬度の場合カリウム要求量が異なるといったところだと思います。

アルカリ性飼育のメリット

エバグリのホームページでは、酸性化するとバクテリアが活動しなくなるという話ですが、調べてみるとキョーリンのホームページにそれらしきことが書かれています。

ph6.5ぐらいまでが限界で6以下は魚にも悪いので、中性が一番みたいですね。

大磯

大磯は貝殻やサンゴを含むので、それが溶け出すと硬度が上がったり、pHがあがったりします。一部の水草とは相性が悪くアルカリ化することでCO2が水草に吸収しにくい状態に留まるようになってしまいます。

活性炭

活性炭は水を通すとアルカリ化するそうです。
しないやつは薬品処理している可能性があるし、そもそも活性炭は飼い主にとって悪いものだけを吸着するわけではないので、これも良し悪しはあります。

水質の酸性化

水質を酸性に傾けるものとしては以下のものが挙げられます。
  • ピートモス
  • マジックリーフ
  • リン酸
  • ソイル
  • 硝酸塩
ピートモスやマジックリーフは腐植酸(フミン酸)類が溶け出すことで水質を弱酸性に傾けます。
腐植酸は植物にも良い影響があるそうなので、高すぎるpHの場合には加えてもいいですね。

pH安定剤

こういう変な薬は使わないほうが良いと思います。
そもそも、上がってるものを下げるのならば、酸性の薬品を溶かしてるだけですよね。
なるべく手を出さないほうが良いかと思われます。

光の波長

水草育成の重要度としてはともかく水質が重要です。
水質があっていれば成長の兆しが見えますし、次に適切な光があれば養分がなくてもひょろひょろ成長します。
そこに養分があって初めてがっしりと健康的な水草がはえるようになります。

青い光400~500nm

水に通りやすく空気中は伝わりにくいのですが育成にすんごく必要だそうです。

水草を太くがっしり育てるのに必要な波長だそうです。

赤い光 600~660nm

水に通りにくく空気中に伝わりやすい。赤からオレンジっぽい光

育つために必要な波長のようです。

緑色 500~600nm

人間には一番明るく見える光ですが、
コケの成長にも使われるやっかいな点もあります。

というか緑色の波長がないと人の見た目にはまったく美しくないものができあがるので、
コケが生えるのは仕方ない、アクアリウムは見て癒されるもの。
水草も元気なほうが良いということで作ったのが、きっとADAのNAランプなんでしょう。


でも、蛍光灯一本で数千円じゃ高すぎますよね。

代用品ではホタルックFRESH色が分光分布もそっくりで、ケルビンも似たような感じだそうです。
それでいて値段は半分以下。

た水槽のサイズが60cm型が一番良いということに気づいたのはここでした。

蛍光灯の販売サイズも
20型は多いけど、15型は少ないんです。。

20型ならばホタルックでも、水草育成特化とか植物用だとか直管型でも
選べるので、水槽はやっぱり60cmが一番よさそうです。

蛍光灯代用品候補

3波長15形

これならばどれも似たような分光分布にあるようです。
緑>青>赤 というような分布。

ただし45cm用の蛍光灯は品揃えが少ない(涙)

東芝フィッシュルクス

青系、赤系に絞って育成に特化した波長の蛍光灯もあります。
東芝フィッシュルクス FL15BRFなんていうのがあるらしい。
これは赤が多くて緑が少ないやつです。

http://saturn.tlt.co.jp/apfs/CommoditySpecData.do?&search_typename=FL15BRF&cnctsh=

PG-2もこれと似たような分光です。
東芝フィッシュルクス

赤いアロワナとか買ってる人ならいいかもしれませんが、
緑が少なくて赤が強いので、まるで夕日のようになってしまうと思います。。


日立サンラインビューティーFL15BR


こっちは青い光が強いようです。



日立サンラインビューティー
サンラインビューティーFL15BR

NECビオルックスHG

赤い波長、青い波長とも強く水草育成に適した蛍光管です。
見た目も少し赤いですが赤い魚を飼っていると色が映えます。

現在私も使っており、一番オススメする蛍光管です。


NECビオルクス


後は毎日規則正しく照射してあげることが一番大切なようですね。

LED蛍光管

水草が生い茂った水槽ではありますが、LED蛍光管で育つか検証した動画がありました。
比較的安い昼白色蛍光管でも十分に育っていることから、水草が成長できる水質にさえすればなんとか育つみたいです。

二酸化炭素の添加

CO2の添加は水草育成を飛躍的に簡単にする、とお店の方にも言われました。
でもコストが高いんですよね。
小型の二酸化炭素添加装置はランニングコストがかかる。
大掛かりになればランニングコストはおちるがイニシャルコストが高くスペースをとるようになります。

そもそも本当にCO2添加が必要なのか考えました。

水草の種類による

難易度が高い水草は添加が必要。
特に添加がいらないものでも、成長促進するらしいです。

エアレーションとの併用

CO2添加時時はエアレーションはOFFにしておいたほうが良さそうです。
当たり前かもしれませんが、理由としては下から水面への水の循環により、水面のガス交換の効率が上がることだそうです。

そこで、CO2を逃さすに水槽内で回すには外部ろ過方式で、シャワーパイプを水槽の中層に設置し、水面の撹拌を下げることが一番のようです。

あと、CO2拡散にメラミンスポンジをエアチューブに詰めるという方法がありますがやめといたほうがいいです。

メラミンスポンジは細かく砕けますが、水に溶けないので魚のえらに刺さって死に至る死ぬかもしれないという話があるからです。

茶渋やシンクがきれいになるのも、水に溶けない微粒子が微細なすきまに入り込んで削り落とすからこそきれいになるのであって、そんな硬い微粒子が生体にいい影響は与えないからです。

アルカリ性のCO2添加は意味がない

PHが8を越えるあたりから水草は取り込みができなくなるそうです。

なので、未処理大磯でアルカリ化する環境ではCO2添加は無駄です。
ソイルで水草水槽する方にほぼ限定になってしまうようですね。


発酵式のおそろしいところ 

発酵式で試したものの、アルコール濃度が低いときにはみられなかったんですが、発酵が進むにつれてエアストーンがミズカビだらけになるのが気持ち悪いです。
なんか、ほかの水草にも飛び火したようにカビがはえちゃったし(関係はなさそうですが)

とはいえ、エアレーションだけでも20分の1ぐらいの割合で空気中のCO2が取り込まれるそうなので、飼育が容易な水草ならば金をかけなくても大丈夫です。


夜はエアレーション

後は、水草が活発になると夜は水草も呼吸して酸素不足になりやすいので、エアレーションしてあげるのも重要になります。

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