白点病治療薬「アグテン」の使用方法

白点病の治療といえば、メチレンブルーかマラカイトグリーンなどの治療薬が代表的です。
特に水草も枯れない治療薬「アグテン」がおすすめですが、Webサイトには説明書のPDFファイルもなければその説明書を引用した使用方法すら。。。
ということで、自分自身大変困りましたので、しっかり説明書を読んできちんとした使用方法をまとめます。


アグテンの使用

アグテンは100Lのお水に対して10mL投与します。
下表では水槽サイズから水量を算出していますが、投薬量は説明書でも四捨五入して解説されていますので、30cmキューブ水槽ならば3.0mL投薬しても大丈夫です。

水槽サイズ幅(mm)奥行き(mm)高さ(mm)水量(L)投薬量(mL)
30cmキューブ30030030027.02.7
30cmワイド30024024017.31.7
45㎝キューブ45045045091.19.1
45cmノーマル45024030032.43.2
45cmワイド45030030040.54.1
60㎝キューブ600600600216.021.6
60cmノーマル60030036064.86.5
60cmワイド600450450121.512.2
90cmノーマル900450450182.318.2

しかし、アグテンのキャップでは10mLしか測ることができません。
よって次のようなシリンジを使って採取するのが一番良いです。

プラスチック製の安いディスポーザブル(使い捨て)シリンジならばアグテンと一緒に購入しても良いと思います。


アグテンと同一成分の薬です。AmazonではアグテンがPrimeに入っていなかったのでこの商品を変わりに紹介します。

アグテンの有効期間

アグテンの薬効持続期間は水槽に投入してから2~3日とのことです。
2~3日ごとに半分ほど水換えして同じ量のアグテン薬液を再投入します。
水換え後はアグテンの投与量を多くすべきという情報がありますが、説明書に水換え後の薬液の量を増やせというようなことは書かれていません。

また、マラカイトグリーンは特に紫外線には弱く光分解性があります。
水草育成用ランプを使用している場合には紫外線の含まれる可能性があるので遮光しておいたほうが無難とのことです。(これはアグテンメーカーのニチドウに問い合わせて確認)
よって、もし水槽に直射日光が当たるような場所に設置している場合には、水槽を覆って遮光し、水草用ランプを使っている場合には治療中だけは消灯させたほうがよいです。

しかし、蛍光灯に関しては消灯させるまでもないと感じました。
その理由は有効成分のSDSを確認したこと(後述しています)と、自分の経験則として、植物育成用の蛍光灯NECビオルクス15wを2灯つけて、3日間ごとに水換え・投薬を繰り返して治療したときには消灯はさせていませんでしたが、薬浴による治療効果はあり、病気の魚はいなくなりました。

照明はもちろん8時間/日をタイマーでセットしていますので、きっちり時間を守っています。
よって蛍光灯程度ならば遮光や消灯は不要で、薬効以外の作用が気になるなら水換え頻度を2日に一度にしてみるのが良いでしょう。

アグテンの治療期間

治療期間はおよそ2週間を目安にします。
理由は白点虫のライフサイクルが次のようになっており、魚に取り付く前の幼虫にのみ殺虫効果が認められるからです。

白点虫のライフサイクル(赤い部分が薬が効く期間

  1. 被嚢(ひのう、たまごぶくろ)に収まった状態
  2. 被嚢の中の孵化した幼虫が飛び出す(この幼虫をホロントといいます)
  3. 幼虫は魚に取り付くため水中を泳ぎ回ります(唯一薬が効く期間)
  4. 魚に取り付き、根を張って養分を吸いつつバリアーを貼る(薬が効かなくなります)
  5. 成虫になったらぽろりと取れて被嚢を形成
大体は新規に魚を購入してきたときに魚に4.の状態の白点虫が魚体にとりついていて、そこから繁殖を繰り返し蔓延するのだと考えられます。

また、温度帯にもよりますが、20℃付近であればこのサイクルを5日間で繰り返すそうです。

アグテンが効かない期間があることから、短くとも10日間~14日間は投薬・水換えによる治療を繰り返し、被嚢がいなくなるまで続けることで治療完了と言えます。

アグテン使用時の注意

注意書きより気をつけたほうが良い箇所を抜粋しました。

手指につかないように取り扱うこと

なるべくなら手袋を使用します。
そうでないなら薬液がついたらすぐに洗い流してください。
アグテンの有効成分であるシュウ酸塩は経皮毒性のデータはありません。

アロワナなどの古代魚、大型ナマズには使用しないこと

古代魚を買ってる人はそもそもアグテン投与はしないと思いますが、例えばコリドラスなどのナマズ類も通常の魚に比べて感受性が高いため、薬の影響で調子を悪くしてしまうことがあるようです。

水草が植えている場合には治療終了後1/2換水すること

水草に効果がないわけではないようです。
治療完了後はなるべく薬の濃度を下げるように換水を推奨しているようです。

植えたばかりの水草・赤系の水草には使用しないこと

治療終了後に植えたばかりの水草が調子を崩してしまいましたのでこの注意書きも守るべきです。

殺菌灯を設置した水槽には使わないこと

UVで有効成分が分解するためです。

ろ材に活性炭・ゼオライトを使用している場合は取り除くこと

有効成分が吸着されて治療効果があらわれなくなることを防ぎます。

シリコン部分・機器類・砂利・装飾品が着色されるおそれあり

こればっかりは覚悟して使用してください。
シリコンホースなどはアグテンの色(緑色)が残ってしまいます。

アグテンの保存方法

本剤は冷暗所に保存を推奨されるものです。
メーカー曰く冷蔵庫でなくとも暗所であればよいとのことですが、温度が一定かつ遮光ができるので冷蔵庫に保存するのがベストです。(開封から2年経過しても十分色が残っています)
そして水分を混入させないことが長く保存させるための秘訣です。

また、薬液の色が変わっていなければ薬効は十分残っているとのことで、逆に色が薄くなっているようだと有効期限切れと考えて良さそうです。
1年間暗所でない箇所で保存したらまるで色が違う(薄くなった)薬液にびっくりしたなんていう情報もあります。

アグテンの主成分と毒性

アグテンの主成分はマラカイトグリーン(シュウ酸塩)であり、メチレンブルーと比較すると白点病の原因であるウオノカイセンチュウ駆除に効果が高い薬品であるそうで、SDSを見てみると光分解性はあるものの、蛍光灯などの照明程度ですぐは分解しないようです。
ただし、劇物に該当する毒性があります
LD50がラットで275mg/kgということですので、種差(ネズミと人との感受性の違い)を考慮しなければ80kgの男性6人に純度100%のシュウ酸塩を22gほど飲ませれば3人は死んじゃうほどのものです。
44Lぐらい一気に飲んだら死んじゃうので気をつけてくださいね。

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