アクアリウム:「水草その前に」を自作する

水草を買うとついてくる嬉しくないおまけ。
それは水槽の美観を損ねる「スネール」です。

そしてスネールだけならいざしらず「ヒドラ」だの「プラナリア」だの、あまつさえ白点病の元となる「寄生虫」も付いてくるなどなど!
こんな迷惑な奴らを水槽に持ち込んでしまうと大変です。
ということで投入前の水際で防ぎたいところです。

スネール・プラナリア・ヒドラ - アクアヴェイパー
招かれざる客「スネールプラナリアヒドラ

水際で侵入を防ぐ

そんなときにこの「水草その前に」
買ってきた水草にこれをかけると…なんと水草の影に隠れていたスネールらが取れてしまうんです!!
便利なおくすり!小林製薬の「水草その前に」!!

いや、小林製薬製ではないんですが商品名は完全に小林製薬そのもの。
胡散臭い商品名はさておき、アクアリウム用品としては考えられたものでよいアイディアですね。


もし、専用品を通販で購入するならば3個セットがおすすめです。

「水草その前に」主成分は?

この「水草その前に」の主成分は「水酸化カルシウム(消石灰)」です。

塩基性(アルカリ性)である消石灰を水に混ぜ、懸濁液(水に完全には溶け切らず粉末が液体の中で分散し濁った状態)を作り、それに水草を漬け込むことで塩基性に弱いスネールらを弱らせ水草から剥してしまおう!というだけの単純な話です。

主成分がわかった以上、専用品を買わなくても自分で安く作ることができるわけですね。

自作…というか代用品

さぁお待ちかねの「水草その前に」の自作方法です。
消石灰は園芸用肥料としてとーーーっても安く売られています
しかし、園芸用品はダマになっているため懸濁液づくりも大変です。

もし家庭にこんなホモジナイザー(ものすごくマゼマゼする機械)があるのでしたら園芸用品で問題ありませんが。。
絶対撹拌するマン御用達のマシン


さておき、園芸用品に対して食品添加物用として売られているものはさらさらとした粉末状になっています。
私がおすすめする「水草その前に」の代用品は食品添加物指定のこちらです。

危ない薬品じゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これはこんにゃくを固めるためにも使われる安全なものです。
食品添加物グレード消石灰
これを1Lのお水に2gパラパラしてちゃちゃっと撹拌するだけ、複雑怪奇な手順もゴリラを凌駕するようなパワーもいりません。

「水草その前に」と食品添加物「消石灰」の価格差

アクアリウム用品の「水草その前に」はたったの1gで200円します。
こんな糞高いもん買えるかボケとっても安いですね。

水草買うときにレジの前に置いてあればついでに買っていくのにちょうどいいサイズと価格です。

しかし、食品添加用ならば1kgでおよそ1000円。
価格差なんと200倍。
現代の錬金術だなぁと思いました。

もし、1kg買っておけば500ccの懸濁液でも1000回分使えるわけですから買っても置き場所に困るわけですけどもとってもお得ですね。

残留農薬とエビへの大ダメージについて

さて、「水草その前に」は農薬除去をうたう効果があります。
では、水草につく農薬ってなんでしょうか。

水草につく農薬

アヌビアス・ナナを代表とする海外産の格安水草は、海外から日本へ入れる際の検疫の関係で、外来種の虫を持ち込まないよう殺虫効果が高く、さらに長持ちする有機リン系農薬が使われているという話です。

有機リン系農薬の代表選手として「アセフェート」という成分がありますが、こいつは植物体内へ浸透しやすく長い間薬の効果が残る効力(これを残効性といいます)があります。
このアセフェートは水溶性が高く製造コストも安いため、農業において昔から長きにわたって広く使われている優秀な農薬です。

しかしながらこのアセフェートは極低濃度であっても甲殻類にも甚大な被害をもたらします。

甲殻類とはミジンコやエビが該当します。
つまり、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビがいる水槽にこの農薬のついたアヌビアス・ナナを入れると、それほど時間をおかずにエビたちはもがき苦しみ死んでしまいます。

有機リン系農薬の症状

農薬がついているであろう水草を入れたあと、エビがもがくように水面まで泳ぎ、力尽きて沈む…というような症状を繰り返したのならこのアセフェート系農薬が使われていると考えてよいでしょう。

この症状はこの成分の殺虫作用になります。
脳内の興奮物質を長いこと残らないようにする分解酵素「アセチルコリンエステラーゼ」の働きを邪魔して、興奮する脳内伝達物質がいつまで経っても分解しないようして消耗させ殺虫効果を得る仕組みです。
要は呼吸が満足にできなくなって窒息して死んでしまうということだそうです。
上述のように水面まで泳いで沈むというような動作を繰り返しているようならこの作用が働いているせいだと考えられます。

他にもアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を持つ農薬はいっぱいありますが、効果が強くて安く、そして長く効くということから有機リン系農薬に軍配が上がります。

よって、格安の海外産水草に使われている成分はアセフェートだと考えています。

農薬がついた水草を入れてしまったら

ポット式のアヌビアスナナには、特にウール部分に農薬が染み込んでいるという話がありました。
丁寧にウールを取り除いてからアヌビアス・ナナを植えましたが、その後8ヶ月ほどは甲殻類は飼えませんでした。

もちろん水換え頻度や濾過フィルターによっても、飼えない期間は変わると思います。
短くとも半年、大事を取るのであれば1年はエビを導入するのは止したほうが良いと思います。

こういうと農薬は悪者に見えますが、魚にとってはなんてことない濃度であるので、エビが死ぬ水槽でも魚は元気に泳いでいられます。

「水草その前に」の残留農薬除去効果?

チャームの解説ページにもあるとおり、水草の表面の残留農薬処理に…と記載があります。
逆に言えば内部に浸透した農薬には効果はほとんどありません。

農薬の中には表面だけにしか届かないものもあれば植物体内に移行するものも存在します。
アミノ酸系除草剤なんかは移行性がありますし、その中には水生生物に被害がある記載もあります。

表面に付着して浸透しない農薬ならば、この消石灰でも多少効果はあると思いますが、エビが元気に生活してられるほどの効果を期待するほどではないと考えましょう。

エビがいる水槽への水草追加には

「水草その前に」は貝類、ヒドラ類などの混入防止用だけと考えます。
農薬除去は考えず、国産水草もしくはお店に販売されてからしばらく経過した水草を購入するようにしましょうね。

2 件のコメント :

  1. とても役に立ちました。ありがとうございます。
    「水草その前に」は、便利ですが単価が高いので、どうにか安く作れる方法を探していました。

    カリウムなんかも、お店で買うと高いですが、あれも自分で自作可能ですよね。

    良く使うものですので、出来る限り安く抑えておきたいものですね。

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  2. コメントありがとうございます。
    この記事がお役に立てたようで嬉しいです。

    ペット用品は得てして高いものが多いですが、調べると流用可能なものがいっぱいです。

    他にもカルキ抜きを安く済ませる方法なんかも紹介していますので参考と慣ればと思います。
    https://aquavapor.blogspot.com/2018/03/ChlorineHarmless.html

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