アクアリウム:水草が成長しない原因考察「カリウム過多」

水草が成長しない原因にはpH、GHのバランス(基本的には低いほうが水草向きです)の他に、肥料バランスもあります。

水草が成長しなければ、肥料不足かな?と思ってどうしても追肥してしまいますよね。

しかし、追肥こそが水草成長ストップの起因になっているのではないかと考えました。

追肥でハマる落とし穴

アクアリウムの水草関連のサイトを探せば、まず目につくのが窒素、リン酸、カリウムの肥料が必要であることです。
これは水草に限らず、植物全般がこの3つの肥料を多く欲するわけです。
そして、窒素、リン酸は水槽内で餌から供給されるため、よほど魚が少ない水槽でない限りはあまりっぱなし、コケの原因になると書かれています。
そして、カリウムだけは別に供給せねばならず、ブライティKを添加しろだのイニシャルスティックをボコボコ入れりゃあ植物育つと書いてあります。

でも、これはすごーく不親切な書き方です。
カリウム系の肥料については、市販品を記載の用量、濃度のとおり入れたら間違いなくカリウム過多になります。

カリウム過多とは

カリウムが多すぎる場合、植物はマグネシウム・カルシウムイオンが利用不能になるようです。
これはカリウムとマグネシウム・カルシウムが拮抗関係(同じ濃度じゃないとダメ)にあるためです。
カリウムと拮抗関係にある要素:アンモニア態窒素、りん酸、カルシウム、マグネシウム、ホウ素
本来追肥の解説をするのであれば、以下のようにカリウムを上手に添加するように書くべきであり、マグネシウム、カルシウムと上手に付き合わないと水草は育たなくなる、そう書くべきなんです。



カリウム過多の症状

まずカルシウムが足りない症状としては成長点が萎縮し、新芽も黄色化してきます。
そして、マグネシウムも欠乏となり下葉も黄色化、もしくは薄い葉の色になってきます。

薄い葉の色もしくは黄色化すれば葉緑素を失うので光合成もしなくなりますから、ほとんど成長しない状態となるうえに、栄養素が吸収できず枯れていってしまいます。

まさに家の水草がこれで、カリウム過多とはつゆ知らず、むしろどんどんイニシャルスティックを追加し、カリウム液を添加していました。


カリウム過多の原因

塩素中和剤の種類に気をつける

塩素中和剤もチオ硫酸ナトリウムのハイポから、ビタミン+カリウムの溶液もあります。
我が家ではこのビタミン+カリウム強化溶液をつかっており、このカリウム濃度が必要以上に高かったようです。

大体の肥料は硬度が低い環境で既定量添加してしまうとカリウム過多を起こしてしまうので注意が必要です。

加えて強アルカリ性溶液でもありますので、pH上昇により植物育成に向かない水質になってしまうようです。

カルシウムイオンの不足と勘違い追肥

大磯砂も長年使用しているとカルシウム供給元の貝殻が溶け、カルシウムイオン濃度も低くなると考えられます。
植物が成長しないから安易にイニシャルスティックやカリウム溶液を追肥してしまうと、必要以上のカリウム供給がなされます。
ソイルも同様にむやみにイニシャルスティックを突っ込むと、たとえ吸着系ソイルであってもすぐにソイルの吸着効果がカリウムで一杯になりカリウム過多となる可能性があります。

結果、カリウム過多となり植物成長ストップ水槽が出来上がってしまうわけです。

調子を崩すまでに時間がかかる

導入したての水草が成長するのは、体内に取り込んだ養分を使って成長しているだけで、その養分が切れると葉に穴が空き、色がなくなり…成長を止めてしまいます。

俗に言ういじける状態となります。

こうなるとせっかく水草を植えていても、窒素もリン酸も使われないわけですから、苔むして来てしまうんですね。

ぜいたく吸収の罠

カリウムは植物内に必要以上に吸収されるとしばらく体内にとどまり、吸収を阻害し続けるようになります。
これはカリウムだけでなく窒素類、リン酸類も同じことが言えるのですが、肥料がなくなってもしばらくは生き続けられるようにするための植物の防護機能だと思ってもらえればわかりやすいのではないかと思います。

しかし、カリウムに関しては体内にたっぷりとりこんでしまうと、水質を改善してもしばらくは成長の兆しが見られなくなるようです。

改善策

カリウムは水換えでなんとかなる肥料要素であります。
逆に言えば流亡しやすい肥料要素とも言えますので、全く添加しないと不足に追いやられてしまいますが、私の水槽にはたくさんのイニシャルスティックが低床に埋まっていることから、常にカリウムが供給されると考えられます。

そこで、水換え時にはカリウム+ビタミンの溶液を使うのをやめ、チオ硫酸ナトリウム水溶液を作り(作り方とコストを記載した記事)、これで塩素中和を行って追肥をストップし、しばらく様子を見るのが草らに負担を与えない一番の方法かと思います。

加えて、pHが高いようならばピートモスを仕込み、pHを7を若干下回る程度にキープして様子を見るのが良いと考えれます。
pHも下げすぎると硝化細菌の能力が落ちてきて、さらに苔取り用の貝の殻もボロボロになってきてしまいます。
6.9ぐらいのpHを狙って維持し続け、新芽が出てくるようになるまでしばらく待ち続けるのが最良の策と考えられます。

速攻の解決策

マグネシウムとカルシウムが不足していると考えられるので、バランスをとるために苦土石灰をぶちこめばいいわけです。

ただし、苦土石灰肥料は水槽、アクアリウム用品ではなく園芸用肥料です。
これを水槽に転用しようとして粒をばらまくと、思った以上に濃度が高くなってしまいます。
園芸用ならば土に埋め込んでじんわり溶けて効く遅効性の肥料ですから、水槽に下手に打ち込むとこれらがすぐに溶け、中量、微量元素過剰となるわけですね。

だからこそ、こういう肥料を使うには、水溶液を作り、それを1~2プッシュしては1週間ほど様子を見る。
これの繰り返しをして最適な濃度を見つけるわけです。

観察力と時間がかかる作業なので、アクアリウムに関しては「こうすればうまくいく」こういった事例は自分で作るしかないところが難しいところであり、面白いところでもあります。

そして何より、園芸用肥料は量が多すぎるため使い切ることが先ずない点が欠点ですね…

自作苦土石灰肥料

100ccの水に苦土石灰粒をひとつまみ、とかく少ない量で懸濁液を作ります。
10分もすれば粒が溶けるでしょう。

ただし、溶けると行っても粒が崩れるだけで、水溶性の成分以外は沈殿してしまいますので、よーーーーくシェイクした状態にして水槽にプッシュします。

添加後は1週間は様子を見て成長の兆しが見られないなら追肥やめ、おとなしく水換えだけで様子を見、もし成長するようならMg,Caイオン不足であたりということになります。

ただし、調子に乗って肥料を多く添加するとすぐに水草に異常があらわれるので注意が必要です。

とりあえず、100円のプッシュボトルにつめて、これを水槽に2プッシュ添加してみます。

1日経過後

カルシウムイオンの要求量が高いパールグラス(ニューパール)に大きな新芽がでてきました。
もしかしたら効果がでてきたのかもしれません。
引続き調子を見ようと思います。

参考記事

  1. CaMg液肥
  2. 水草が不調な時は・・・ 

2 件のコメント :

  1. はじめまして。自分の水槽も水草(ロタラインディカ)が上手く育たず悩んでいます。一般的に重要と言われている、照明、水温、水質、CO2,栄養,の中で消去法で原因を絞ってみました。まず照明(アクログロウ→アマテラスledに変更)一灯8Hでスポット的ですが、問題ないと思います。
    水温は、クーラーで25,6度にしているので問題無し。
    水質は、ph6.7kH0.5GH4で問題無しかと。
    Co2に関してはph下がり過ぎない程度に照明と同時添加8H
    で特に問題なしと思います。
    残るは栄養(肥料)ですが、コリドラスがいる関係で、底砂は田砂にしています。なので基本的に水草は鉢植えにしています。5cm四方深さ10cmの透明なプラケースにコントロソイル+イニシャルスティック10粒位を入れました。それに加えて毎朝自作カリウム液肥、ADAニトロ(窒素)1プッシュづつ添加してます。リンは生体が30匹位いるので足りてるかと。窒素も足りてると思っているのですが何となく添加してます。コケは一週間でガラスに斑状コケがうっすら付く位です。大体、環境はこんな感じですがご意見頂けると助かります。あ、バリスネリアは伸び過ぎな位育ってます。

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    1. Moriさんはじめまして。

      機材からして私の水槽の20段ぐらい上のレベルで飼育されてらっしゃるようで、釈迦に説法な気がしてなりません。

      カリウム液肥の濃度にもよるかと思いますが、ソイルでイニシャルスティック併用されている場合ですと、GHも低いですしカリウムが余り気味になるのではないかなぁと思います。
      斑状のスポットゴケは窒素過多でも起きるということですので、N/Pの液肥投与を1/3(3日に1回)程度にして、1ヶ月ぐらい様子みる方法ではいかがでしょう。

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