しかし、一方では水道水を温度さえあわせていれば水槽に直接注ぎ込んでも問題なしという意見もありました。
では、そもそもカルキが本当に魚に対して影響(毒)があるのか。
そして、カルキを抜かないと魚やら硝化細菌をぶち殺してしまうのか。
はたまたカルキを無害化するはずのカルキ抜きこそが毒なのか。
いろいろ調べてみました。
カルキ(次亜塩素酸ナトリウム)の殺菌に必要な濃度
枯草菌の芽胞はカルキ(次亜塩素酸ナトリウム)0.01%(100ppm)の水溶液に浸せば、5分以内に99.9%が死滅するとされている。カルキの水質基準項目(基準値 0.1mg/L以上)、つまり濃度は高くとも0.01%ということになり、水道水から供給される水でも十分に殺菌可能な濃度を保っています。
これはもちろん飲水に細菌がわかないようにするための処置です。
ということは、水槽の水をまるっと水道水に入れ替えれば枯草菌は死滅するということになり、枯草菌でなく一般細菌も死滅する濃度だそうなので硝化細菌類も死滅することは間違いないと思われます。
しかし、次亜塩素酸ナトリウムはアンモニアや腐植酸とすぐに結びついてしまうので、次亜塩素酸ナトリウムとしての濃度はすぐに落ちていきますが、結びついて生成される無視できないの存在が結合塩素です。
結合塩素とは
次亜塩素酸ナトリウム(水道水の成分として一般的には残留塩素と呼ばれています)がアンモニアと結合してモノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンなどができてしまいます。どの成分が多く生成されるかはpHによって変わるのですが、どの成分も似たようなものだと思ってください。
これらの成分は次亜塩素酸と比べて毒性が低くツンとするハイター系の匂いもしないのですが、分解しにくい(安定性が高い)ため、遊離塩素の除去方法としては有効だった煮沸、エアレーション、日光へ晒す、ビタミン添加での中和がきかず、分解までには10~11日間(250時間程度)ほどの長い期間残留してしまうとのことです。
加えて、魚毒性がなくとも甲殻類や細菌類には影響があるとのことです。
市販薬では検出できない
カルキ検出ができる指示薬でも遊離塩素は検出可能ですが、結合塩素までは検出できないため、エアレーションを行っただけで塩素類が抜けたーッと思い、その水を水槽に入れてしまうとエビ類にダメージを与えてしまいます。
結合塩素の除去方法
ビタミンC系の塩素除去剤
ビタミンCが含まれている除去剤は安全性が高いと謳っていますが、除去できるのは遊離塩素だけで結合塩素に関しては効果がありません。
ハイポの塩素除去効果
ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)に関しては、塩素中和剤として昔から使用されているだけあって、遊離塩素、結合塩素ともに2~3分で中和できるようです。
反応生成物として塩酸、硫酸、塩化ナトリウムが生じますが残留塩素、結合塩素と比べれば濃度も毒性も極めて低いため、安心して水槽に投入することができます。
トリハロメタンの毒性
以前、飲水に含まれていて毒性が強いということで話題になった物質です。
有機酸と塩素が結びつくことでできてしまうようですが、どの程度の毒性なのか実際に調べてみることにしました。
信憑性の高そうな京大の調査研究を参考にしました。
トリハロメタン(クロロホルム)をワンワンに長いこと飲ませる実験で、量としては13mg/kgほど毎日飲ませると肝臓に悪い影響がでたそうです。その10分の1である1.3mg/kgほどの量が肝臓やらに影響が出ない数値だそうです。
私が80kgだとすると103mg毎日のんでも大丈夫ということになりますが、これは飽くまでワンワンの話なので、種も違えば感受性も違うだろうということで、安全性の基準としてワンワンやらチューチューから得られた結果の100分の1の値を採用することが多いのです。
とすると、私の場合、1日1.04mgのトリハロメタンを摂取しても大丈夫ということになります。
トリハロメタンの水道水に含まれる基準値も0.1mg/L以下だそうなので、1日に10L程度なら大丈夫。
100L飲めば肝障害を起こす可能性が出てきます。
その前に、水分過剰摂取で死んじゃいますけどね。
浄水器の恐怖
このトリハロメタンが面白おかしく取り沙汰され、必要以上に恐怖を煽ったため、トリハロメタン除去を謳った浄水器を使わないと「がん」になるだとか、無気力になってしまってお子さんが大学いけないだとか脅しに脅しまくって、高い金で浄水器を買わせて荒稼ぎした企業もあるようですね。
ちなみに、売られた浄水器を分析した消費者センターでの調査結果を見ると、トリハロメタンは全く除去されていないそうです。
効果のない商品の反乱
この浄水器と同じように効果に関して有用性がないものがペット商品でもよく売られています。
熱帯魚用品ではほんとに買う人がいるかなぁと思っている波動が出るプレート。特殊セラミックから放たれる波動が水質を浄化する…などという説明文がありますが…買っちゃう人…いるんでしょうね…
漫画雑誌の広告ページにある謎の幸運石
マツコ・デラックスさんが出版社に勤めていた頃のお話だそうですが、あの幸運石、不思議と買っていく人がいるそうです。年に一度だかの頻度で売れていくらしいです。そして稀に「効果がないんだけど!?」という苦情もあるそうです。
でも一番ひどいのはがん患者に売りつけるレメディだと思います。
特殊な製法で抽出したと謳った効果のない錠剤を目が飛び出るような高額で難病患者の足元をみてで売りつけるわけですから、人の弱みに漬け込む悪質な輩はパンを踏んで地獄に落ちればいいと思います。
トリハロメタンの魚類への影響
魚類への影響をトリハロメタンの使用用途であるクロロホルムのセーフティデータシートからみたところ
- 魚類(ブルーギル)での96時間LC50 = 15400mg/L(EHC 196, 1998)
- 甲殻類 (ブラウンシュリンプ) での96時間LC50 = 1340mg/L(EHC 196, 1998)であることから、区分外とした。
ということなので、魚やエビ(甲殻類)に対してすぐに死ぬような影響はほとんどないようです。
とはいえ、発がん性、催奇形性(奇形が出やすくなる)が疑われる物質であることにはかわりなく、カラシン共の一生涯と呼べる3~4年間常にトリハロメタンに晒されることによってどんな影響があるかわかりません。
長生きしてほしいので私は中和剤をきちんと使います。
長生きしてほしいので私は中和剤をきちんと使います。
中和剤の安全性
中には中和剤自体を危険視する声もあるようです。
- チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)
- EDTA(重金属の除去、軟水化作用)
- 塩化ナトリウム(お塩ですよね)
- ビタミンC(酸化還元作用により参加ビタミン、水、塩化ナトリウムに分解)
原価も安いチオ硫酸ナトリウムを主成分としたものが多く、塩素中和剤の中ではハイポの結晶が一番低価格です。
液体と比べて結晶化していると物流コストも安く済みますしね。
液体と比べて結晶化していると物流コストも安く済みますしね。
それをメーカーが水増しして儲けるため水溶液にして取り扱いを容易にし、さらには重金属除去効果を加えたものがテトラコントラコロラインだとか4in1とかの製品です。
また、チオ硫酸ナトリウムの代わりに、ビタミンCでも塩素無害化できるようなので、ビタミンで魚も健康にだとかわけのわからない付加価値をつけた中和剤も出回っています。
中和剤自体の毒性
ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)
- 魚毒性:魚類(ガダヤシ) LC50=24000mg/L/96H
- 甲殻類(ミジンコ)での48h-EC50=250mg/L
どちらも水棲生物への影響は区分外です。
魚はもちろんのこと甲殻類のエビでも規定量の10倍~20倍ほど投与しなければすぐに死ぬようなことはないと考えられます。
これが危険視されてしまうのは、塩素中和時の生成物に塩酸、塩化ナトリウム、硫酸が発生することが原因と思われます。
それは管理が行き届いた日本のお水だからそう答えるのであって、昔だったらどうでしょうか。
池から汲んだ水には細菌類、原子生物、それらの寄生虫などがいます。
でも、水を飲まねば生きていけません。
しかし、発酵によりアルコールが生成されれば細菌類や寄生虫を死滅させることができます。
多少腐ったものでもアルコールと一緒に食べることで食中毒リスクを減らすことができます。
海外でも日本でも生水は危険ですし、水道水であっても残留塩素濃度が低い基準が設定されている国では日本人にとっては危険度の高い水となってしまいます。
水生生物にとっては残留塩素のほうがリスクでありますし、塩酸、塩、硫酸どれもほとんどリスクのない程度の濃度しか生成されませんので、どちらを選べばいいかは簡単だと思います。
加えてハイポ結晶を大量に食べたとしても消化管(胃腸)からはほとんど吸収されないみたいです。
なので、食っても病院担ぎ込むほどではないようなので、この点からしても古くから存在するハイポは優秀であると考えます。
魚はもちろんのこと甲殻類のエビでも規定量の10倍~20倍ほど投与しなければすぐに死ぬようなことはないと考えられます。
これが危険視されてしまうのは、塩素中和時の生成物に塩酸、塩化ナトリウム、硫酸が発生することが原因と思われます。
お水とお酒のどちらが危険?
例えば、水とお酒、どちらが安全か?と聞かれたら当然お水が安全と答えますよね?それは管理が行き届いた日本のお水だからそう答えるのであって、昔だったらどうでしょうか。
池から汲んだ水には細菌類、原子生物、それらの寄生虫などがいます。
でも、水を飲まねば生きていけません。
しかし、発酵によりアルコールが生成されれば細菌類や寄生虫を死滅させることができます。
多少腐ったものでもアルコールと一緒に食べることで食中毒リスクを減らすことができます。
海外でも日本でも生水は危険ですし、水道水であっても残留塩素濃度が低い基準が設定されている国では日本人にとっては危険度の高い水となってしまいます。
ハイポ中和後の生成物の毒性
ハイポで中和した水も結局は同じことで、残留塩素のリスクを選ぶか生成物のリスクを選ぶかのどちらかになります。水生生物にとっては残留塩素のほうがリスクでありますし、塩酸、塩、硫酸どれもほとんどリスクのない程度の濃度しか生成されませんので、どちらを選べばいいかは簡単だと思います。
加えてハイポ結晶を大量に食べたとしても消化管(胃腸)からはほとんど吸収されないみたいです。
なので、食っても病院担ぎ込むほどではないようなので、この点からしても古くから存在するハイポは優秀であると考えます。
結論
塩素は硝化細菌類や甲殻類にダメージがあるので、水道水をダイレクトにジャバジャバぶち込むのはよくないかと。
せっかく歴史ある中和剤がこれほど安く手に入るわけですから、面倒でも中和剤を使ってみて損はないと思います。
ビタミンタイプは上述のとおり、見た目や聞こえがいいだけのもので本来の塩素除去の目的を達成できていないことがわかりました。
これを平気で売っていることを考えると、いかにチオ硫酸ナトリウムでは商売にならず、手を変え品を変え、そして到達したのは安全で健康そうに見えるビタミンをもってして、(遊離)塩素が除去できるタイプの高価な中和剤を売りさばくことで初めて商売になるんだなぁということです。
本当に生体のことを考えるのならばトレードオフの関係でも最も優れているチオ硫酸ナトリウムを使用したもの、溶かすのが面倒であれば高価でも液体タイプを使っても良いとは思います。
番外:カルキとは
本来、塩素を含んだ石灰、さらし粉のことを言うそうです。正確には次亜塩素酸カルシウムを指しています。
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